フタキ鉄工の実力:事例紹介

事例04:“知識やノウハウ・経験値のリレー”…溶接構造「レール」

主に大型プレス・中型プレス機械に使用される部品で、プレス外に金型を準備するための場所に設置され、準備が出来た金型を乗せたボルスター台車を移動させるためのレールです。
プレス外レールは製缶品と焼入れした材料を溶接したものを加工し、さらにレール面の硬度を上げるために高周波焼入れという特殊な焼入れを施工します。こちらもプレス内レール同様、非常に歪やすく精度が出しにくい品物です。精度としては直角度・平面度・平行度が要求されます。


製品概要

仕様等
仕上がり製缶品高さ H:100〜250 W:100~200 L:1,000~5,500
直角度:2/100mm、平面度:1/10mm、平行度:2/100mm
材質:S50C材を素材調質したものと製缶構造品
作業内容
材料 → 焼入れ作業 → 製缶(溶接・板金) → 面及び溝加工 → 端面加工 → 穴加工 → 焼入れ作業 → 検査

フタキの実力

 溶接構造品である本製品。通常、焼入れをした素材を溶接すると、その焼入れした部位がさらに硬化、硬度は高くなっていきます。その硬度が上がった部分をどのように加工するか、それがこの製品の課題でした。しかしこの製品にはもっと大きな課題が潜んでいるのです。

 この製品は、実は上の板と下の母材の材質が異なります。(写真参照)
通常、違う材質のものを溶接する時点で素材は歪み、また加工による熱が出るとさらに歪んでいきます。この“歪み”の発生具合が大きくなると、最悪のケースではこの溶接まで完了しているワークを廃却せざるを得なくなるので、それだけは何としても避けなければなりません。

 このような異材の溶接構造を加工する際にまず考慮する点。それは、あまりワークを締め付けないこと。
 どんな加工でも、基本的にはワークをしっかりを抑える必要があります。でないとワークがカッターの勢いで飛んでいってしまうこともあり非常に危険です。しかし、今回のような溶接構造品で歪が発生しやすいものは、逆にしっかり押さえつけないことがポイントの一つになります。

 “しっかり”押さえつけるのではなく、“適度に”“必要最小限の力で”“最適なポイントで”“充分に”押さえる。実際のワーク自体が、加工する前にどの程度歪んでいるか見極めながら、ワークを押える箇所と押え方、力加減を長年の経験を元に決めていきます。

 長年の経験がものを言うこの作業。数字などでは決して表せないこの経験値は、先輩加工者から後輩へと、現場で実物を前にしながら生の言葉や実際の作業によって代々受け継がれています。
 その力加減を表す数値などワークの押さえ方を記した書類などを一切用意していない理由。それは鉄は生き物だから…言うと格好いいですが、素材それぞれでその都度歪み方が違い、同じものなど決してないためマニュアル化できないのです。
 しかしこの面倒くささが、実は当社の得意とするところだったりします。


蔵出しテクニック

 本製品の加工では、製缶(溶接)による歪と焼入れによる歪が発生します。いかに自然な状態を保ちながら製品を据付するか、いかに軽く押えるかという点が、加工後に生じる反動を極力抑えるポイントとなります。

 最後の高周波焼入れ後でも精度が保てるよう、焼入れ前加工である精度まで求めておくことが必要になっていきます。